ジャニーズJr.チャンネルの再生回数を分析してみた【前編】

2019年8月8日、東京ドームで歴史が動いた。“CDデビュー”はこれから先も私たちの夢であり続け、そしてそれは実力が認められた数少ない者だけが掴める栄光なのだということを改めて思い知らされた。そんな時ふと私の頭によぎった、

「あれ、HiHi Jetsって今どのへんにいるんだろう?」という疑問。

私は自分の子が一番かわいい(みんなもそうだよね)ので「自担だって最高だし!実力あるし!努力してるし!デビューするし!!!」と叫びたい気持ちは山々であったが、割と物分かりのいいオタクなので、今の彼らと、今般デビューが決まった2組の間に幾分かの“差”があったことは否めないと理解している。じゃあその差って何なのか?どれくらいなのか?今後どう策を講じていくべきなのか?そんなことが単純に気になった。

そこで、それらを定量的に把握する方法はないかと考えたところ、公式YouTubeチャンネル「ジャニーズJr.チャンネル」*1の再生回数データがめちゃめちゃ使えるということに気がついた。今回は以下の2点に目的を絞った。

  1. ジャニーズJr.戦国時代の現状を知る(@Jr.チャンネル内)
  2. 動画再生回数の高低差要因を知り、YouTube出のファンを作る方法を探る

無論、YouTubeの再生回数が実力を測る全てではない。数字を並べて殴りあうのはナンセンスだ。「再生回数を上げないとデビューできないから頑張ろう!」ということを推奨する意図は一切ない。しかし、せっかく自担の可愛さを普及できるツールなのだから、その現状と課題を把握し人気に繋げるヒントは得られないものか?ベールに包まれた社長采配に病んでるヒマがあったら、ウチらでガンガンPDCAサイクルまわしてこ〜〜!!!!!そんな主旨の記事にできたらいいなと思っている。

書き進めるうちに論文並みのボリュームになりそうなので、前後編に分けてお送りします!

 

 

①データについて

  • 対象:YouTube ジャニーズJr.チャンネル内の「グループ横断企画」を除く動画(2018.3.14〜2019.8.11更新)の再生回数
  • 集計日:2019年8月14日(水)
  • 集計日時:HiHi Jets(11:00〜)→美 少年(13:30〜)→SixTONES(15:30〜)→Travis Japan(17:00〜)→Snow Man(18:00〜)→パフォーマンス動画(19:30〜)→集計終了(20:00)
  • 方法:上記の順に、ユニットごとで最新更新分の動画から過去へ遡ってリアルタイムで表示されている数値を記録した。

人一人の生産性には限界があり、ユニットごとで時差が生まれてしまった点は課題として残る。人気の高い動画は数時間で百〜千回単位で再生回数が増えるため、今回集計した回数はあくまで「集計されたある一時点」におけるデータであることは留意されたい。

以下の図1は、各ユニットの動画を更新日時順に並べ、これまでの再生回数の推移を示したものである。*2 大きく跳ねているのは主にライブ動画やダンス動画である。ストは動画の多くが50万〜150万回、スノは50万〜100万回、トラ・Hi・美は50万前後に分布している。

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図1

ところで通常、過去にアップされた動画ほど人の目に触れる日数が長くなるため、再生回数は最新になるにつれて低くなると考えられるが、一概にその現象を観察することは難しく、今回考慮しないこととする。むしろ、新旧問わず同様の水準で推移していることから、通常の企画モノ動画は、アップされてから数日は大きく再生回数を伸ばすが、動画のポテンシャルによって上限値が存在し、ある一定に達すると増加が止まる可能性が考えられる。*3 この辺りは次回以降で気が向いたら詳細に分析してみたい。

 

 

②再生回数順にみる各ユニットの立ち位置

何度でも言うが、数字の優劣に着目して誰がすごいだの、再生回数で競い合うべきだの、そういうことを述べたいわけではない決してない。*4 客観的指標を用いたときにはこういう結果になる、というただそれだけを示すものである。

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表1

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表2

MV(ストのみ)・ライブ・ダンス動画はどのユニットにおいても再生回数が異常に高くなる、かつ表2が示すようにユニット毎で本数も異なるため、今回はそれらを除いた再生回数とトータルの再生回数両方で比較を行った。*5

表1を見ると、「これからは実力主義になってしまうんだろうか…」という内容のツイートをよく目にした理由がよくわかる結果となった。(トータル)の最大再生回数を見るとストを除けばかなりの混戦具合であるが、(MV・ライブ・ダンス除く)ではスノも他3組の1.5倍ほどの最大再生回数を叩いており、ライブやダンス以外の通常の企画モノでも高水準で人気があることによって、平均再生回数が高くなると推察できる。これはストにおいても同様である。

さて、冒頭で述べた「HiHi Jetsって今どのへんにいるんだろう?」という私の疑問に答えるとすれば、今回の集計時点において、平均値という指標を用いた場合、チャンネルをもつJr.の中では5番手ということになる。シビアすぎて泣きそう、誰だよこんなことやろうって言い出したのは!(お前だよ)

しかし、ここでクヨクヨと悩んで枕を涙で濡らす必要はない。だって!動画は!企画内容次第で伸びしろがあるから!!というかむしろHiHi Jetsを生かしきれてないだけじゃない???とか思ったりするわけである。ということで、次章以降では、各ユニットの動画再生回数をより詳細に取り上げ、それぞれの企画傾向や、人気のある動画とはどのようなものか、何が人々に刺さるのかについて考察したい。

 

 

③再生回数ランキング!ベスト10

以下の表3は、ユニット別の再生回数ベスト10(トータル)である。前述したように、MV・ライブ・ダンス動画はどのユニットにおいても再生回数が多くなるため、見事に上位をかっさらっている。コンサートが円盤化されないJr.界隈にとって貴重な映像であり、何度もリピート視聴されるため半永久的に再生回数が伸び続けると考えられる。

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表3

ストを除く4組を比較すると、ライブ動画はどれも100万〜200万強だが、スノ・トラはHi・美に比べてダンス動画も100万〜200万回稼いでいるという点が大きな違いだろう。

個人的に気になったのは、HiHi Jetsは代表曲である「Hi Hi Jet」ではなく「baby gone」が1位という点。これは決して"君とJETでDOするLIFEなう"し飽きたわけではなく、Jetsとして初のオリ曲である「baby gone」への注目度が高く、ファンに繰り返し再生されたということだろう。 また、美 少年のコズメロはコズメロでも、サマステで披露されたコズメロの方が人気が高いというのも面白い。

そしてやはり、JAPONICA STYLEのMVの再生回数には圧倒される。ストの人気度も勿論だが、ジャニーズJr.からオリ曲のMVが公開されたという話題性、注目度、クオリティ、MVという周囲への普及しやすさ…これら全ての高さが1000万回再生に迫る勢いを生み出しているのだと思う。

 

 

④ユニット別にみる人気動画の特徴(前編)

ライブやダンス動画から見えるステージパフォーマンス力も重要だが、ジャニオタは総じて、各ユニットの持つ雰囲気やバラエティ力、メンバーの人となり、メンバー同士の関係性を見ることにも、大きな喜びを見出す生き物ではないだろうか。企画モノの再生回数には、そういったジャニオタの趣味嗜好(≒ニーズ)が直に反映されると仮定し、MV・ライブ・ダンス動画を除いた動画の再生回数ベスト10を抽出した。ここからは、ユニット別にどのような動画が人気なのかを見ていこう。

HiHi Jets編〜

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表4

まず、オリ曲「baby gone」を目隠ししたまま、しかも無音で5人がフリを揃えて踊れるのかを検証した【無音ダンス】持ち歌なら目隠しでも踊れます?! が堂々の第1位に輝いた。「HiHi Jetsでオススメの動画教えて!」と言われたオタクが用意する動画リストに、200億パーセントの確率で入ってくる作品だ。baby goneを知らずとも、開始10秒で乱れる隊列、思い思いの動きでスタジオをさまよい歩く5人の姿を見たら最後である。

 

この動画が人気なのは、「無音ダンス」という企画自体にどう転んでも面白い感があることに加え、メンバーがワチャワチャして可愛いに違いないとオタクの期待感を高められる点にある。しかも踊っているだけなので、HiHi Jetsの"ノリ"(雰囲気や会話のテンポ感)に魅力を感じないという人でも気軽に楽しんでいただけるという点も大きいと思う。

次に、2位以降に着目したいのだがこの時点で衝撃の事実が発覚する。なんと2位は、チャンネル始動1発目*6に撮影された企画会議なのである…。いや、嘘!?嘘でしょ!?!?企画動画は、2018年3月21日に全ユニット同日公開されたものである。そもそもジャニーズがYouTubeチャンネルを開設するという話題性から、おそらく誰もが自担以外の企画動画も興味本位で一通り再生したのだろう。表5が示すように、スト以外はどれも60万回前後に固まっていることがわかる。

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表5

つまりこれはどういうことか。率直にいうと、数々のオリジナリティある動画が、企画会議以上の注目度を集めるに至っていないということである。これはかなりショックがでかい…。また、ベスト10に入っているのは2018年前半にアップされたものばかりで、それ以降にヒット作品が生み出されていないのも寂しい。これはHiHi JetsYouTubeの今後の課題といえよう。

ちなみに、3位の【語彙力】「いち髪」シャンプーで香りレポート選手権!は、プロモーション動画なのだが、正直タイトルからは全く面白さが伝わってこない。しかしなぜ3位!?その理由はおそらくお風呂タイムがあることと、メンバー同士で髪の毛の匂いを嗅ぎ合う姿が見られるということだと私は思っている。オタクのど変態すぎる欲望が滲み出た結果となった。4位以降は面白いには面白いのだが、HiHi特有のゆる〜〜〜い動画になっているため、個人的にはファンでなければ視聴されにくいのではないかと思っている。

 

 

SixTONES編〜

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表6

SixTONESの1位は、「JAPONICA STYLE」のレコーディング風景を撮影した【レコーディング】裏側編となっている。

 

そのタイトルの通り、レコーディング風景を収めたものであるが、ただ歌っているだけではない。ひたすらジュリタナカにいたずらを仕掛けに仕掛け倒す。私はSixTONES「場を回しまくって笑いが取れる、サークルにいたら絶対便利な男子たち」と認識しているのだが、その良さが前面に押し出されていて飽きることがない。レコーディングという普段見られない映像への注目度もさることながら、万人受けする圧倒的なおふざけセンスで高再生回数になっているのだと思う。4位の【KYゲーム】も同様の理由だろう。あと、何より本人らが視聴者を差し置いて1番楽しそうなのが好印象を受ける。

2位は【寝起きドッキリ】人生初体験にハプニング発生!in沖縄寝起きドッキリが嫌いなジャニオタなんかおらん!!!SixTONESがお送りする安心安定の面白さに寝起きドッキリが組み合わさろうものならば、ファンでなくとも思わず見てしまう。また、これを含めて3つの「旅行系」動画が10位内にランクインしている。他のユニットに比べ、ストは旅行系が多い傾向にあるが、より素に近いメンバーの姿を見られることが人気の理由だと考えられる。

そして興味深いのが、「1対1のサシトーク【不仲の噂】」「SixTONESは本当に仲が良いのか?以心伝心ゲームで検証!」「【6人で食事会】1年ぶりで本音告白!!」といったメンバーの関係性や仲の良さをのぞき見ることができる動画が共通してランクインしていた点だ。こういった動画や旅行系にしても、ジャニオタのニーズにしっかりハマる企画が組まれていると感じる。

最後に、SixTONESの驚異的な再生回数の多さについて考察したい。そもそもファンの母数が大きく、数字に熱心なファンが多いとも耳にするが、きっとそれだけではない。ここで、再生回数=ファン人数×1人あたりの再生回数+ファンではないが興味を持った人数×1人あたりの再生回数という考え方を示したい。ちらっと前述したように、ストの面白さは万人受けするものに近い。また、ジャニオタの好物でしかない企画を多く取り入れている。これによって、ファンではなくとも「1回見てみよっかな」という行動につながり、再生回数を押し上げているのではないだろうか?現に、基本自担の出ているものしか見ない私でさえもストの動画は積極的に見るようになっている。

 事務所の力の入れ具合はさておき、ユニットのポテンシャルと企画内容が相乗効果を生み出している好事例には違いない。じゃあ全員SixTONESのようなお笑いセンスを磨け!ということではないが、ファンではない人にも興味を持ってもらうにはどうすればいいかはスト兄さんたちから教わるべし、と強く思った。

 

 

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さて、今回はここまで!!長々とお付き合いくださりありがとうございます。

集計してからもうすぐ1週間が経とうとしており、データの鮮度が落ちてきているのだが、心折れることなく後編も頑張ってアップしたい。次回はスノ・トラ・美のユニット別分析と、知りたくないけど知りたいワースト10動画の特徴についてお送りする予定です。興味があればぜひ見にきてくださいね。

では!

 (6057文字)

 

 

*1:曜日固定で週1回ずつ、ユニットごとにさまざまな楽しい企画動画を無料提供してくれる素晴らしいサービス

*2:SixTONESのJAPONICA STYLE(MVとRecording版)は外れ値に近いため、グラフにする上で除いている。また、スト以外の4組はグラフ上限を3,500,000に揃え比較しやすいようにした。

*3:ライブ動画は半永久的にリピート再生されるため、上限という概念がないと考えられる。

*4:アイドルのきらめきは数字で量れるわけがない。

*5:ダンス動画は、原則【ダンス動画】とタイトル頭に明記されているものとした。よって【無音ダンス】や【倍速ダンス】は含まないが、ストの【Mr.ズドンがやってきた】は通常の企画モノではないとしてダンス動画にカウントした。また、MVはJAPONICA STYLEとRecording版、これはかなりグレーだが「ジャニーズをデジタルに放つ新世代。」をカウントした。また、ストスノ合同クリスマス企画やHiBのライブ動画等はいずれのユニットにも加算していない。

*6:自己紹介を入れると厳密には2発目

関ジャニ∞よ、あまりにも「物語」すぎるだろう。

関ジャニ∞15周年ライブツアー、十五祭はこれに尽きる。

 

7月も終わりに差し掛かるというのに、未だ梅雨明けしておらず体感湿度90%超えのクソみたいに蒸し暑い名古屋。

今回のセットリストは事前にチェック済みで、SNSに零れ落ちるたくさんの歓喜の声に、私自身もこの日をとても楽しみにしていた。行く前からこんなに高揚感を覚えたのは、いつぶりだろうか。

十五祭の開催が決定した時、GR8ESTの思い出が頭をよぎった。と言っても人間の防衛本能か、関ジャニ∞に関する2018年の記憶はうっすらとしか残っていないが、どこか形式的なコンサート、ボケても何か味付けが足りない空回りした丸ちゃん、笑顔に覇気がない横山くん、決意はあるけど不安が拭えないやすだくん。当時の自分の心象も反映されて、私の目にはそんな風に映っていたと思う。その後の公演を重ねるにつれて、関ジャニ∞もエイターも、少しずつ前に進んでいるのだろうということは伝わってきたが、それでも私にとって、6人になった関ジャニ∞の記憶はそんな印象のままで止まっていて、十五祭は心から笑って祝えるのだろうか?と正直不安だった。

しかし、札幌で十五祭の幕が開き、みるみるうちに元気になっていくエイターたちを見ていると「ああ、これきっと私も絶対楽しめちゃうな」と確信できたのだ。

 

そもそも2018年の薄暗い気持ちは、OP映像「関八絵巻」の時点で消し飛ぶこととなる。まず「関八」という響き、まだ使ってる人いるんだ〜!!という盛大なツッコミから入った。余談が過ぎるが「関八」ってギャルが使ってそうな語感だよね。

主コンセプトとなっている「1000人から1000万人へ」を戦国時代に模して、古田新太語り部となって関ジャニ∞の歴史を振り返る映像。この中で、割とポップめに内くんと「袂を分かつ」し、2018年「一人の男の決断の背中を押した」ことにも触れており、書き進めていたらいつの間にかこんな感じの物語になっちゃいましたわ、そんな関ジャニ∞でもかっこいいでしょう?とドヤ顔で言わんばかりの心地よいテンポで進められる。

決してなかったことにはしない。だからこそ、「過去のあれこれも全部武器に変えて戦っていきますから、あなたもそろそろ顔を上げて共に戦ってくださいね。」というメッセージとして、私は受け取った。胸のモヤモヤが少し晴れて、前を向けた気がした。

 

巷で「オタクが作った」と噂されるコンサートの中身の話も書き残しておこうと思う。

私自身が少ないながらも複数のグループを担当していて思うのは、関ジャニ∞は中でも「ファンの求めるもの」を的にしてボールを投げられる数少ないグループであるということ。たまに理解不能なことをしでかすが、「ファンが喜ぶこと」へのアンテナは人一倍敏感なのではないかと思っている。

その心はというと、例年のツアーの仕上がりにも言えることだが、今回の十五祭はいつにも増して、エイターの潜在的ニーズを掘り起こし「観たいを叶える」公演になっていたからだ。通常、アニバーサリーイヤーのコンサートというのはおしなべてシングル曲、昔の曲、支持が高いコンサートのテンアゲ曲に偏りがちだ。それらもまた、ファンが喜ぶものであるので否定するつもりは一切ないが、さて、今回の十五祭はどうだろう。

昔の曲、と言われれば確かに数年前のものなので昔の曲だが、そこか!!!みたいな絶妙なツボを押さえてくる選曲。特に「Eightpop!!!!!!!」とかヤバイ。(語彙力の低下)

「RAGE」「I to U」「ロイヤルミルクストーリー(日替わり)」「Black of Night」「アイスクリーム」あたりは、世の中で主役にはなってないけど、私の関ジャニ∞ブチ上げプレイリストにマストなんですけど〜!???というラインナップで、なぜ我々の気持ちがわかるのだ…?いつの間にメンタリストDaiGoになったのだ…?と動揺を隠せない一方、ウチら感性オニ似てんじゃん?と私の中のkemioと関ジャニ∞が握手を交わした。

アニバーサリー要素が強くなりがちなシングルメドレーをアンコールに固めたのも潔く、本編とエンドロール、のようなイメージで気持ちを切り替えて楽しむことができた。

 

「6人になって歩き出した関ジャニ∞」を象徴にしようと思えば簡単だったかもしれない。でも、決してそうはなっていなかった。

「ここに」も歌った。「Crystal」も歌った。しかしそれらはあくまでもこの15年間の関ジャニ∞の一部でしかなく、その歩いてきた道には8人だった時の関ジャニ∞の、7人だった時の関ジャニ∞の足跡が色褪せずに存在していて(実際に映像が流れていたし)。苦しかった思い出も、楽しかった思い出も、この際ぜんぶ歌にのせて楽しくアップデートするよ!そしてまた物語の続きを作っていくよ!そんな印象を受けた十五祭だった。

コンサートに正解はないが、あれこれと雁字搦めになっていたエイターにとっては「これが6人の関ジャニ∞です!」という正義を突きつけられるより、「観たいもん観れるし楽しすぎるわ」と脳みそを空っぽにして楽しめる最高のコンサートでよかったのではないかと思う。誰よりも関ジャニ∞本人たちが関ジャニ∞のファンであるから、実現できることなのかもしれないと感じた。

 

 

さて、本題はここからである。

こんなふうに自分で語りながらも、果たして本当に関ジャニ∞関ジャニ∞の一番のファンであって、この先もずっと関ジャニ∞というアイドルとして生きようとしてくれるだろうか?

という考えがふと頭をよぎったのが、今回の公演でもあったりする。 急に何を言い出すんやコイツは、と思われても仕方がないが、だってあまりにも綺麗に「物語すぎる」ものだから。

関八絵巻が示すごとく、厳しい下積み時代、松竹座は埋めることができないし、いろいろあって7人になっちゃうし、でもドームを埋められるくらいでっかいグループに成長して、さあここからだなっていう時に、夢を追ってまた一人旅に出てしまって、そしたらそんな逆境にも負けずに、進むんじゃない進めるんだぜ!って力強く歩き出すし。そんな屈強な人間いる?ってくらい、長編映画前後編で作れちまうぞ?ってくらい、関ジャニ∞関ジャニ∞すぎることが少し怖いのだ。

ここで話を再び2018年に戻すと、すばるが脱退することになった時、「この人はアイドルでもあり、等身大の30代男性なんだ」と痛感した。アイドルだからといってアイドルだけで人生で終える必要はなく、40に差し掛かった人間なら自分のキャリアを見つめ直すこともある。

それは渋谷すばるに限らず、他のメンバーにとっても同じことだろう。彼らは"ジャニーズちっく"な美しい物語の主人公Aになるごとく生きているわけじゃない。だからこそ「それでも前を向いて進み続ける関ジャニ∞」なんていうのは我々が都合よく解釈しようとしているに過ぎなくて、その裏には見えない葛藤が存在するし、その大きさは計り得ない。Aに進みますか?Bに進みますか?それとも新しい物語に進みますか?と、行く先が分岐していても何らおかしくはない。

いつまで関ジャニ∞という物語は続くのだろう?続けてもらえるのだろう?

関ジャニ∞があまりにも泥臭くて綺麗でまっすぐな物語を描くからこそ、今こうして私たちの前に立つ6人をそんな風にも見てしまった今回のコンサートだった。

 

しかし、ジャニオタというのは永遠にこの「ストーリー性」を消費する生き物であるので、結局は何が起こるかわからないジェットコースターに乗り続けるのだと思う。今目の前にいる関ジャニ∞を抱きしめて、その生き様を自分に投影しながらわたしも彼らのように人間臭く生きてみたいと思いを馳せるのだろう。

 

ゴチャゴチャと書いてしまったが、十五祭を経て、この先また何があってもまあ大丈夫かな、と思えたので杞憂かもしれないね。物語はきっとまだまだ続く。

 

最後の最後に、安田くんが元気に飛んだり跳ねたり、キレキレに踊ることができるまで回復してくれて本当に良かった。安田くんを支えてくれた人々、安田くんの細胞たち、そして神様にありがとうを言います。これからもどうか健やかでいてください。

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